
Posted on 2008.09.08 - 授業レポート -
夏休み前に出た宿題、「植物の個性を発見して、デッサンを描く」の発表と講評です。
庭に咲いている花など、身近な植物を一つ選んで写真を撮り、生育場所、原産地、主張度、動きの形態、テクスチャー、色、香りや象徴性など、植物の個性を構成している要素を図鑑で調べたり観察して書き出し、その植物を使ったアレンジメントのデッサン画とともに提出しました。
その中から先生に選ばれた8人が、それぞれ選んだ植物について発表しました。
「日光のよくあたる屋外の木にからみついて育っている。原産地は中国。強く支配的な存在感はないけれど、華麗な美しさを持つ中程度の主張の植物。テクスチャーはガラス的で透明感がある。色は青紫や白、赤など。似ている植物はスイートーピー、キキョウ。反対の植物はひまわり、アジサイで、理由は茎が蔓状に生長するアサガオとは違い、茎が太くしっかりとしているから」(アサガオ)
しっとりしている。深い海の底を思わせるような、器の大きな高貴な女性のイメージ。とてもよい香りが特徴」(ガーデニア)「近所に住む20代のお姉さんをイメージするお花」(トレニア)
「情熱的な20代後半の女性のイメージ。同じキク科で花の形が丸いガーベラ、ヒマワリ、ヤグルマギクが似ている植物。花の形が特殊で個性的なユリや、小さな花がたくさんつくカスミソウが反対の植物」(ダリア)
皆よく調べているし、自分の目で観察してキャラクターを感じ取っている。
アサガオは、うちのお向かいの家の玄関先に鉢植えが置いてあって、なんとなく毎日目にしている。でもテクスチャーがガラス的で透明感があるなんて考えてもみなかった。そんな感じ方もあるんだと、新発見!
特にすごいなと感じたのは、8人とも選んだお花のキャラクターを生かし、他の花材と合わせたアレンジメントのデッサンをちゃんと考えて、描けて「原産地が熱帯アジアなので、花の形の面白さをいかして熱帯の雰囲気のアレンジメントをアシンメトリーで考えました」(クルクマ)
「テーマは"夏の涼しさ"。長く伸びる茎を見せるため、ラインがシャープなアレンジメントにしました。アガパンサスで"涼"を、組み合わせたバラとゲイラックスで夏の暑さを表現。造形のイメージは自然的、コンポジションはアシンメトリー、レイアウトは並行、モーメントは複数生長点です」(アガパンサス)
私も、原産地などは図鑑や本などですぐに調べることができた。でもアレンジメントを考えるのに時間がかかってしまって、デザイン画は未完成のまま提出・・・。観察した植物の個性を使って何を表現したいのか、イメージを確立しないと描けないし、性格の似た植物を組み合わせて雰囲気をまとめるとか、反対の植物でメリハリを出すとか、お花選びにものすごく悩んでしまったから。
最後に、岡先生から宿題に対する総評です。
「生育場所や色、テクスチャーなどは、図鑑で調べただけで実際の植物を見ていなかったり、また推測だけで調べていなかったりがありました。自分の目と頭、両方で確認することが必要です。
キャラクターについては、内面的な性格、お姉さんっぽいとか、形や大きさだけでなく、そこから先のことを感じることが大切。また、香りに特徴のあるお花を選んだのに、触れてない人もいたのは残念。今回は難しかったと思うけれど、お花が散っていく姿まで観察すると、より個性や性格がわかります」
「アレンジメントは、お花の分量が少ない人が多かった。選んだ植物はある程度たくさん使って、主役が何であるのかを明確にしましょう。また夏のイメージとうたっているのに、春にしか咲かない花が入っているのは、季節をテーマにしている場合矛盾が生じる。何を表現したいのか、ちゃんと煮詰めること。完成した作品は実際に長く楽しめるのか、吸水方法についても考えることも大切です」
なるほどなあ。皆の発表と先生のお話を参考にして、今なら私もデッサン画を仕上げられそう!
午後の実技の授業では、「放射」をテーマに作品を作りました。
使用花材は、スカビオサ
「自分が何をテーマにどんなものを作りたいか、何を表現し見せたいかが固まっていないと、見てくれる人に作品を通して思いを伝えることはできません。シャープなラインのアレンジメントをと思っていたのに、お花屋さんで可愛いパンジーを見つけたのでそれも入れたいな・・・というように、あれもこれも、になると作者の意図が曖昧になってしまう。今回、花材は一種類とシンプル。"私が見せたい放射はこれだ!"という思いを強く持ってやってみましょう」
と斯波先生。
今の自分の知識と技術を総動員し、自分なりの放射を表現するんだね。放射のアレンジメントの場合は、茎がすべて同じ位置から出ているように挿さないといけない。ちょうど水をまくとき、ホースの先を押さえると放射状に水が出る。あのイメージかな。
「こちらは植生的のアレンジメント。風や光の入り方が考えてあり、一焦点もよくできています。ただ、器がちょっと仰々しく重い感じ。植生的に合わせるなら、素朴で自然な形のほうがいい」
「こちらも植生的。放射はよくできているけれど、空間にこれから伸びていこうとするお花を増やしたほうがいいですね」
「こちらは人工的なアレンジメント。コロンとした赤い器と、花の形と色が合っていて、人工的な雰囲気がよく出ています。放射の形も幾何学的でいい」
「さっきより、より人工的な印象が強い作品ね。シンメトリーがきれいに形成できている。横から見たときもシンメトリーになっていますね」
使う植物が一種類のシンプルなアレンジメントでも、作り手によってこれだけ雰囲気が変わるし、魅力的な表現ができるんだね!もし構成理論を勉強していなかったら、全て同じように作ったアレンジメントだと感じたかも知れない。でも今は、シンプルな中にも考えるべき理論が必ずあるということがよくわかる。
「一通り習った基礎を、再度一つ一つ確認しながら固めていく。これは高い技術を習得し、高度な作品が作れるレベルに到達するまでの階段を一段ずつ踏み固めながら登っていくことと同じ。一段目が固まっていないと、次の段には登れないでしょう。基礎は大切なのです」
という先生の言葉に、深く納得。