
Posted on 2008.06.17 - 授業レポート -
6月17日(火)。
「人間と同じように、植物もそれぞれ個性、キャラクターを持っています。姿・形や、花や茎がどんなリズムで生長していくかはキャラクターの構成要素です。それらをよく観察して植物の特徴を理解し、作品に取り入れることがフラワーデザインでは重要。今日は、やはりキャラクターの一つであるテクスチャーについてお話します」
と岡先生。
テクスチャーとは、葉、茎、花の表面の質感と特徴のことで、材質感ともいう。フラワーデザインでは、手でさわった感触よりも、視覚的な印象を大切にするのだそう。
「実際に触れなくても、温かそうとか、冷たそうとか、繊細、柔らかそう、エレガント、都会的、カントリー風などの印象は、目で見て感じ取れるでしょう。どの植物がどんな材質感を持っているか、その材質感をどう表現するのか考えてみましょう」
と先生。
アンスリウムやフィロデンドロンは、硬くて光沢があり、なめらかでクールな印象。だから「金属のような材質感を持っている植物」と表現できる。すべすべして光沢のあるヒアシンス、スズランなどは「磁器・陶器のような材質感」。光沢があってなめらかだけど、厚みを感じるゲイラックス、ツバキの葉などは「皮のような」。柔らかく繊細、薄くてしっとりした感じのお花のラナンキュラス、スイートピー、ポピーなどは「シルクのような」。他にも深紅のバラ、セントポーリアなど、柔らかく深みがあり、落ち着いた光沢のあるお花は「ビロードのような」と表現できるし、ふわふわして柔らかく、あたたかな印象のケイトウは「ウールのような」となる。ざらざらして艶のないソリダコ、エリンジウムは「麻のような」印象・・・。
すべすべしている、とか、柔らかそうという印象を植物から感じることはあったけど、テクスチャーの表現がこんなにバラエティに富んでいるなんて、考えたことなかった。
「テクスチャーは、お花のイメージや雰囲気と結びついています。どんなテクスチャーを持つ植物かによって、飾る場所にも影響がでてきます。皆さんも着ていく洋服を選ぶとき、出かける場所に合わせて服の質感、素材感を決めることはあるでしょう。また、レザースーツを着たとき、シルクのワンピースを着たとき、それぞれどんな気分になって、どんな場所にでかけたくなりますか?少なくとも、高原へピクニックには行かないわよね。それと同じで、お花もレザーのような材質感の植物は都会的で新しい建築物に向くとか、シルクやビロードのような植物は、老舗ホテルのロビーなどあらたまった雰囲気のところと、関係性は出てきますよ」
と岡先生。
これは器との関係でもいえること。金属的な光沢を持つ植物には、同じくクールで金属的な雰囲気の器を合わせる。エレガントな磁器を思わせるテクスチャーの、例えばユーチャリスのようなお花なら、ガラスや磁器、陶器の器。キンセンカ、ヤグルマギクなど、きめの粗いテクスチャーで野趣のあるものの場合は、テラコッタやバスケットなど、田舎を連想するものが合うとか・・・。
「テクスチャーは色によっても印象は変わります。深紅のバラの花びらはビロードのような印象だけれど、白バラの花びらはシルクのように見える。同じ色でも、粗く凹凸のある表面では色は鈍く落ち着いて感じるけれど、なめらかな表面では明るく強く輝いた色に見えます」
そう言われてみれば、その通りだ!
その他、植物の個性に与える影響が大きいものといえば、色。一本の花でも、花びらの表と裏、つけ根と先端、開花したときと蕾によっても違いがある。また香りや、花にまつわる神話などの象徴性も個性に結びつくのだそう。
植物のキャラクターを決める要素って、本当に幅広いんだ。
「どのような植物がどんな特徴を持っているか、分類について本などで学ぶことは作品作りに役立ちます。でも、単に知識として覚えるだけでは不十分。自分自身の感性で、その植物がどんな雰囲気を持っているのか感じ取ろうとしなければ。理論と自分の感覚、そして経験。頭と心の両方で植物に接することが大切なのよ」
と先生。
植物の性格や個性は、一面的に決めつけることはできない。観察する人の感性が豊かであればあるほど、さまざまな個性を感じ取ることができるんだ。感じ取った個性を生かしたフラワーデザインは、植物の生き生きとした生命力を感じさせるものになる。
植物を観察する目を養って感性を磨き、そんな作品が作れるようになりたいな。
主役は1回目と同じひまわり。
その他バラ、スプレーカーネーション、ソケイ、ゲイラックスを使います。
「今日は特にアドバイスはしませんから、自分で考えて、1時間で完成させましょう」
と岡先生。
アシンメトリーに構成する並行装飾的のアレンジメントで大切なのは、まずグルーピング。主のグループ、対抗するグループ、寄り添うグループに入れる花の分量を8:5:3の割合にすること。
次に植物素材を互いに並行に配置し、並行性を出すこと。そして人工的なイメージを強めるために、閉じた輪郭を形成すること。
ソケイを使って、閉塞感が出るように仕上げるんだっけ。
並行装飾的のアレンジメントは、同じ並行でも植生的より華やかなので好きだな。
「右端の作品は、3つのグループに入れる花の分量が4:2:1になってしまっているわね。一番左は、主のグループと寄り添うグループが一体化した印象。グルーピングをもっとはっきりと」
「ひまわりは上に向かって咲くお花だから、お花の周囲に全体に空間が必要な丸い形態でしたね。この挿し方では少しきゅうくつそうね」
「カーネーションも、お花の咲き方や大きさを見て、各グループに合うようにグルーピングをしてから挿しましょう」
うーん、自分の作品と照らし合わせてみても、反省点がたくさんある・・・。
花材を吸水フォームから全部抜いて、もう一度で生け直し。やり直すと勉強になる。さっきはひまわりとバラに対して、カーネーションを高い位置にたくさん挿しすぎた。今度はリズム感と高低差を考えて段付けしなきゃ。
出来上がったら自己診断。なんとなくメリハリがないなぁ。主のグループと寄り添うグループの距離が近すぎるからだ!構成理論の講義でも習ったグルーピングは、作品にメリハリを与える効果があるとはわかっているけれど、実際自分でやってみると、グループ同士の間隔の取り方がけっこう難しいんだよね。
でも、理論を勉強したおかげで、なぜこうなったのかを分析する力がついたのは大きな進歩!
Posted on 2008.06.10 - 授業レポート -
6月10日(火)
「作品の中に花材を配置するとき、花材同士、またはグループ同士のバランスについて考えることは重要です。このバランスはプロポーションと深い関係があります」
と岡先生。
プロポーションは比率とも呼ばれ、フラワーデザインではコンポジション(構成)、レイアウト(配置)モーメント(動線・力線)と並んで、美を作り出すための重要な造形規準の一つ。作品全体に対し、ある花材やグループが占める割合のことや、花材同士、グループ同士を比較したときの分量の割合、関係のことをさす。プロポーションのバランスをどうとるかで、作品の美しさや、見る人に与えるイメージが大きく変ってくるんだって。
「皆さんはすでに実技の授業で、美しいバランスを生み出すプロポーションについては実践していますね」
と先生。あれ、そうだっけ?
「アシンメトリーの作品を作るとき、主のグループ、対抗するグループ、寄り添うグループと3つにグループピングしていますよね。そのとき、主のグループに入れる花の量は8、対抗するグループは5、寄り添うグループに入れる量は3と、全体で8:5:3の割合になるように行っているでしょう。この割合のことをプロポーションと呼ぶのよ」
そうだったのか!確かに、実技でアレンジメントを作るとき、この割合が変わると安定感が失われたり雰囲気が変わることは実感していた。でも、なぜ8:5:3なんだろう?
美しいプロポーションを決定するためには、昔から使われている基準がある。黄金分割と等量分割だそう。
黄金分割は、人間にとって最も安定し美しいとされる比率で、建築や美術で利用される。ある長さを2つに分けたとき、短いほうと長いほうの割合が、長いほうの長さと全体の長さの割合に等しい関係にあることをいう。
黄金のように絶対的に美しい比率なので、このように名づけられているとか。正確には1:1.618・・・となるけれど、3:5または5:8として覚えるとわかりやすい。古代ギリシャ時代には、建築や窓枠、額縁から彫刻など、すべての美の原理として使われた。有名なミロのヴィーナスも、これに従って作られているんだって。
「実は自然界に存在するものは、そのままで美しい比率を備えているものが多いの。形が美しくバランスがとれていると感じる葉っぱをみつけたら、長さと幅を測ってその比率を計算してみてごらんなさい。黄金比率に近いことがよくあります」
と先生。
へえ、それって、すごく面白いし神秘的!
等量分割とは、日本で古くから利用されてきた分割法。1:1、1:2、1:3、2:3、3:5、5:8・・・と、単純明快でわかりやすく、覚えやすい。例えば畳1枚は1:2の比率で構成されているし、障子や格子の桟は1:1、6畳間の間取りは3:4など、日本人の生活のいたるところで見られる比率なのだそう。
そういえば黄金分割、等量分割のどちらにも、3:5、5:8の比率が含まれているけれど?
「美しい比率は世界共通、ということなのね。皆さんが実技で実践している8:5:3の比率は、現在のフラワーデザインでよく使うアシンメトリーのコンポジション。それがなぜなのかわかりましたか?等量分割による整数比でもあり、同時に黄金比でもあるからなのね」
と先生。
昔からさまざまな造形の中で活用されてきた比率の基準。魅力的なフラワーデザインのためには、その原理を知ることは大切なんだ。作品全体の幅と高さの関係だけでなく、花器と花の関係などにも比率の考えを活かすことができるんだって。
「でも、私たちが扱うのは植物です。一つ一つが完成された美や個性を持つ生命体で、数字以上に見る人の感性に訴えかける、生まれながらにしての魅力を多く備えている素材。そこが他のデザイン分野との違いです。したがって実際の作品に比率をあてはめて考えるとき、単に本数や長さを基準にするだけでは不十分。姿、形から受ける生命力やボリューム感、色、材質感などさまざまな要素を統合して判断することが必要になります。例えば球状に咲く花と平たい花、または円錐形の花を同じ高さで生けると、見え方が違ってくることは想像できますよね。また花材だけでなく、使用する器の形や色、材質感によって、同じ比率でも感じ方は変わりますよ」
あえて比率の基準をはずしてみる。すると思いがけない効果が得られて、面白いフラワーデザインが生まれることもあるのだそう。数字だけに縛られずに、感覚的にバランスを捉えて作品が作れるようになることも必要だって。そのためには実技の練習だけでなく、自然をよく観察し、植物の姿やキャラクターをもっと知ることも大切じゃないかと思う。
午後の実技は、丸い花束。
3回目の今日は先生からの説明に頼らず、習ったことを具体的に意識しながら自分でまとめなければなりません・・・。
使用花材はバラ、スプレーカーネーション、ダイアンサス、ブルーファンタジー、スプレーデルフィニウム、センニチコウ、ミリオグラタス、レモンリーフ、レザーファン、ピットスポラムと、これまでにない多さ!下処理にかけられる時間はたった40分だって。できるかな?でも間に合わせないと、今日は1回花束をまとめたあと崩して2回目を作らないといけないので、時間が足りなくなってしまう。
「プロポーションについて自分で考えてみましょう。円形部分の直径と高さの割合を、8:3~8:5にすることは覚えていますか?直径は25センチに仕上げるので、高さは何センチになるでしょう?」
と岡先生。
午前中の構成理論の授業で習ったプロポーションの話を思い出す。25センチの3/8から5/8ってことは・・・計算すると約9~15センチだ!茎は、円形部分の高さの1/2から2/3の長さに切りそろえる。つまり、高さと茎の長さの割合は、2:1から3:2になるってこと。ここには日本古来の等量分割が活用されているんだね。
数字って実は苦手だけど、今日は勉強したばかりの内容なのでしっかり頭に入るな。今日はお花の種類が多いので、配置のバランスを考えるのに悩んでしまう。
「少しお花の量が多すぎて暑苦しい印象ね。カーネーションを一列減らして、代わりにミリオグラタスを入れてみたら。ボリュームはそのままで、もっとすっきりするわよ」
お花をたくさん入れればいいってわけではないのね・・・。
仕上げた自分の作品は、毎回写真に撮っている。それをノートに貼って、先生からの講評を書き込んでまとめる方法は、他の子がやっているのを見て参考にした。T美ちゃんは、そこに午前中の構成理論の授業で習ったことも、プリントを参照して書き加えてるんだって。
構成理論が実技にどう活きるのかがわかると、自分で考えながら作品を構成できるようになってくる。楽しいな!
入学式からはや2ヶ月。まだ2ヶ月だなんて信じられない。あっというまに1週間が過ぎていくけれど、知識や技術が少しずつ身についていくのを実感するよ。2ヶ月前は、こんなふうに花束がまとめられるようになるなんて、想像もできなかった!
Posted on 2008.06.03 - 授業レポート -
6月3日(火)
「今日は皆さんにレイアウトの実習をしてもらいます。はさみとのりは用意してきましたね?」
と岡先生。
先生からは、A3の大きさの黒い紙1枚と、水色と黄色の小さい紙が配られる。お花を使わないで、どんな実習をするんだろう?
美を作り出すための造形規準の1つ、レイアウトは、位置や空間のバランスを考えて植物素材を作品の中に配置していくこと。そのための具体的なテクニックとして、グルーピング(何本かの植物でグループを作って挿すこと)、列組み(2つ以上の素材を一定の間隔をとりながら列にして配置すること)、段つけ(アップダウンをつけて素材を挿すこと)があることは、先週の授業で習いました。
「今回は列組みの効果を平面上で確認してもらう実習です。水色と黄色の紙で好きな形を切り抜き、まず"素材"を作ります。四角、丸、三角など、単純な形のほうがいいわね。それらを黒い紙の上に並べてリズミカルな列組みを構成してみましょう。同じ素材の大小の組み合わせてもいいし、異なる形や色の素材を組み合わせて1つのグループを作り、それを繰り返して並べてもいい。大切なのは、リズムが感じられるようにすること。シンメトリーとアシンメトリーの列、両方を作ってみましょう」
リズミカルな列って、どういうものだっけ?先週のノートを見ると、
「異なる素材を異なる間隔で規則的に繰り返して並べると、リズミカルな列になる」って書いてある。
とりあえず、大きさの違う四角を切って交互に並べ、シンメトリーな列を作ってみる。
いまひとつリズム感に欠けるかな・・・。もっといろんな形が入ったほうがいいのかな。それで丸や三角なども作って並べる。
アシンメトリーは、左右が非対称となる形のこと。並べていくうちに間隔やバランスのとり方に迷ってしまって、気がついたら列じゃなくて輪になってしまった・・・。
やり直し。単純に大きさの違う丸だけで構成してみると、うまくできた。
実習のあとは、皆の作品見ながら先生の講評を聞く。
「シンメトリーとアシンメトリーの違いや、列の定義がわかなくなってしまった人もいたみたいね。でもこうやって作品を比較してみると、リズムを生む要素とは何か、感じ取れるのではないかしら。まず、列の印象を明確にする必要があって、そのためには素材と素材の空間を適度にとることが大切。シンメトリーよりはアシンメトリー、直線よりは曲線、素材に大小の変化がついている方が、リズミカルな印象は増します。ただ規則性がないと統一感はなく、統一感がないとリズム感も生まれません。
列組みは、舞台やホールなど広い空間での装飾の際、見る人の意識を集中させる効果があります。フラワーデザインのテクニックの中でも重要なものです。今回のように切り紙を使わなくても、紙面を舞台の平面図に見立て、鉛筆でオブジェの配置を決めるようなつもりで列を描いてみるのも練習になりますよ」
舞台装飾や空間装飾など、お花を使っての装飾って、さまざまな可能性があるんだ。今勉強していることは全てアレンジメントだけでなく、広い分野で活かせるものなんだね。
午後の実習は、「並行装飾的」のアレンジメント。前回はひまわりで作ったけれど、今日はガーベラ、スプレーカーネーション、アゲラタム、ソケイを使います。
「植生的は、植物が自然に生えている様子を表現するアレンジメント。対する装飾的は、華麗な豊かさを表現します。今回は茎のラインで明確な並行を作るため、ガーベラの茎にワイヤーを入れて整えてみましょう。
と斯波先生。
ワイヤーを使うのは初めて。なんだかプロに一歩近づいた感じ!ワイヤーテクニックにもいろいろあるそうだけど、今日習うのは茎の中心部に挿し込むインサーションという方法だそうです。
左手で花を上に向け、中心にワイヤーを挿していく。簡単にできるのだとばかり思っていたけど、真っすぐ入らずに途中で茎が折れてしまったりする・・・。
「茎が折れちゃったー」
「せんせーい、どうやってなおせばいいですかー」
教室のあちこちから、救いを求める手が上がる。私も挙手・・・。先生から、別のワイヤーを挿して折れた茎をつぎ、緑のフローラルテープで巻くという応急処置の仕方を教わる。まるで怪我をして、包帯で巻かれたような姿になったガーベラたちが痛々しい・・・。
「検定試験のときは、ついだお花を使って作品を作ると減点になります。今日は各自に10本のガーベラが配られていますが、茎の折れたものは除いて、9、8、7本と、本数が少なくなってもできるよう、構成を考えておきましょう。その場合でも、主のグループ、対抗するグループ、寄り添うグループのグループ分けと、各グループの花の分量を8:5:3の比率にすることに変わりはありませんよ」
レイアウトのテクニックの一つ、グルーピングについては先週の構成理論の授業で習ったばかり。グループ分けをして強弱をつけることで、フラワーデザインにメリハリと面白味が生まれるんだ。理論を勉強してその意味を理解しておけば、ハプニングにも慌てず対応することができるのだと思う。
「ワイヤリングばかりに気をとられて、アレンジメントの構成の基本を忘れないようにね。ガーベラとカーネーションの段つけはできてますか?」
と先生。
段つけも、先週習ったレイアウトの方法の一つ。花材にアップダウンをつけて挿すことで作品の中に空間が生まれ、立体感や奥行き感、リズム感も加わり、植物全体の姿や動きを見せることができる。
これまでは先生の説明に沿って手を動かしていただけだったけど、勉強するうちに効果を自分で具体的に考えられるようになってきた!
全員、同じ花材を使って、同じアレンジメントを作っているのに、それぞれ印象が違うし個性があるなぁ。参考になるアレンジメントの特徴はノートに書きとめておこう。