

日本では1970年代前半までは女性の多くが「いけばな」を愛好し、女性であればごく当然のようにいけばなの手法でお花をいける力を持っていました。このように国民の多くが花をデザインできる文化はわが国独特のもので、一般の人でも繊細なデザイン能力を持っていたのです。一方欧米、特にヨーロッパでは、花をデザインするのはフローリストと呼ばれる特別な資格を持った人が行うものと考えられてきました。今でもフローリストマイスターは高い評価を受け、人々に質の高い花を提供しています。
「いけばな」が広く普及していた日本では花屋は「いけばな」の材料を売るところと捉えられていました。お店の中に水が流れていたり、下葉が落ちているということがあたりまえで花はその周りに種類別に花桶に入れられ、一本いくらでばら売りされていました。しかし、「いけばな」を愛好する人が少なくなり、ばら売りされている花を花瓶に入れるだけでは飽き足りない人々は、しだいに花屋にデザインを求めるようになりました。花屋の存在そのものが変わり、ミニブーケやミニアレンジといったあらかじめデザインされた作品が用意され、販売される今の形式に至っています。いまや、デザインなくして花屋は開けないといった状況です。
また、ブライダルの分野では、戦前の日本ではほとんど花を使うことはありませんでしたが、戦後アメリカの文化が広く受け入れられた影響で、結婚式は神前式からチャペル式へと大きく変化し、花なしでは考えられないものとなりました。今ではカップル一組一組の願いに応じたオリジナルデザインが求められる時代になっています。
このように花に求められるものが変化していく中で、日本でもフラワーデザインの重要性が高まるようになりました。最近ではデパートやホテルだけでなく、イベント会場や商業空間、公共空間、テレビや映画にも華やかな花が必要とされ、花はますます活躍の場を広げています。
